10周年を迎えたむつざわの「サケの稚魚放流事業」

2020年2月26日

こんにちは、福田真木子です。

2月中旬にしては暖かい雨の朝。
あいにくの雨にもかかわらず、沢山の皆様が「放流事業10周年記念式典」会場の睦沢小学校体育館に集まりました。

子どもたちの手には小さな水槽やバケツ。お家で卵から育てたサケの稚魚が元気に泳いでいて、よく見ると小さくてもサケらしい受け気味の口元が酸素をもとめてパクパクしています。

マイクにはホッチャレ君が飾られ、大漁旗をバックに「瑞沢川に鮭の稚魚を放流する会」3代目会長松本敏男氏、市原町長が挨拶されました。

うめ丸くんは相変わらず子どもたちに大人気。水槽で泳ぐサケの稚魚にも興味津々の様子です。

いよいよ放流場所へ移動。
雨ガッパに長靴、みんな準備万端です!
コップに入った稚魚を、順番に川へ放流します。
「バイバイ!」「かえってきてね!」のやさしい声と一緒に稚魚が放たれていきました。

稚魚を育てた女の子も、さみしいけど大きくなって帰って来てほしいと放流後の気持ちを伝えてくれました。
稚魚を育てたことで、お父さんと稚魚談義でコミニュケーションが増えたそうです。
初めてエサを食べてくれた時がすっごく嬉しくて、稚魚の顔真似をして写真に撮ってお父さんのスマホに送ったことを楽しそうに話してくれました。

東京から放流体験にいらしたご家族は、おばあちゃんの睦沢在住がきっかけだそうです。放流後「大きくなった姿が見てみたい」との声。
小さな小さな稚魚が、いつの日か大きくなって帰ってくる姿、見たいですね!

睦沢中学校の生徒さんで、今回初めてお家で稚魚を育てたという男の子は「サケ、動物、人も、小さい時が大切。よく様子を見てあげないと。」って、大人か?親なのか?!
すごいなぁ~生き物を育てるのって、人とのコミニュケーションや思考にも豊かさや広大さを与えてくれる事もあるんですね。

写真はサケが遡上した際のものです)

3代目会長の松本敏男氏にもサケの放流に携わって10年を迎えてのお話をお聞きしました。
ここまで続いたのは、教育長をはじめ、多くの協力者の皆さんのおかげと、まず感謝のお気持ちからでした。
発端は「睦沢には何もない」と言う子どもの言葉だったそうで、ふるさとへの誇り、サケが帰ってくる自然あふれる故郷、を念頭に活動を始め、数年前からサケの遡上が確認されていることもあり、徐々に活動も盛り上がっているそうです。
10年目を迎えた今年は53カ所で稚魚を育てて下さったそうです。
何と言ってもサケが帰ってくるのが魅力、サケ回帰南限の町もさることながら、子どもたちに故郷の魅力を伝え続けたい、そして一人でも多くの人に感動を、卵から育てる感動も。とおっしゃっていました。

そして、最近は子どもたちからも、故郷に誇りや魅力を感じているとの声を耳にするそうです。
10年続けて来た証の声ですね。

瑞沢川に放たれたサケの稚魚はひたすら大海に向かい、そして、大きくなって、また睦沢町に帰ってきます。
言ってしまえばそれだけの事、なのに人々は感動したり、切望したり、豊かになったり。
小さな生き物を中心に壮大な世界が広がる睦沢町、なんだか楽しくていいです!

サケの稚魚放流(2月頃)


この記事は「むつざわに来てね」に掲載された記事の転載です。
取材・文:むつざわ未来ラボ 福田真木子
写真:むつざわ未来ラボ 小林かおり

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